奇譚。静かな長谷川潾二郎。洲之内徹。

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絵の中の猫はタローという。本の向こう、ひとの枕の上に厚かましく座っている猫はタビーという。例えばフサフサの長毛種ならば、このタローとは似ても似つかぬが、タビーは厚かましついでに、絵のモデルにまでなったタローと似てなくもない。

この絵は長谷川潾二郎という画家が描いた。

奇譚検索で引き当てたのが、左の画集長谷川潾二郎「静かな奇譚」

あたしの中では最近の大ヒットだ。

長谷川潾二郎。

知らなかった。

タローの寝息が静かな空気をより澄ませる。

ここから引き当てたのが、

何十年ぶりに出逢っただろう。洲之内徹。

洲之内徹が、惚れ込んだのだからまちがいがない。その昔芸術新潮で「気まぐれ美術館」を書いていた人だから。

洲之内徹が「盗んでも自分のものにしたかった絵」  である。

お気づきの人はいまい。右の「長谷川潾二郎ポストカード」のタローには他の表紙のタローにある白い髭がない。

洲之内徹は長谷川潾二郎に髭を描くように頼むと、猫がこのポーズをするのは年に2回春と秋だからその時にしか描けないと答えたのだと。

じつは若いころ気まぐれ美術館でこの猫に出逢っているかもしれないあたし。しかし、そのころは躍動する奇譚に傾倒し、素通りしていたのだ。

今はタローに会いたくてしょうがない。

洲之内徹の死後コレクションは宮城県立美術館に寄贈されたという。

ここも2度も訪れているのに素通りしたのか。

年月が経って静かな奇譚に心惹かれるようになった。さて、仙台だ。