花粉の飛散時期に繰り返し花粉を吸いこむと、
ごく少量の花粉でも強い症状が現れるようになります。
初期療法とは、症状が悪化する前、つまり「花粉が本格的に飛散する前」から薬の服用を開始する治療法です。
これにより、鼻の粘膜が過敏になるのを抑え症状をコントロールしやすくなります。
初期療法をはじめる時期
目安としてお住まいのエリアの飛散開始予測日から服用を開始してください。
(ただし症状の重い方は飛散開始の1~2週間前から)
そのため、初期療法をお考えの方は、花粉が飛び始める前(スギ花粉症の方は1月中旬~2月上旬)に受診をしてください。(レーザー治療との併用も可能です)
※当院では2016年改訂鼻アレルギー診療ガイドラインに従い初期療法開始の時期をご提案しています。
※まだ症状が出ていない間に服用を始めることで、結果として薬の量を減らしたり、強い薬を使わなくても効き目を発揮させることが可能になります。
当院では、抗アレルギー薬や点鼻薬を患者さんそれぞれの症状に合わせて、
百種類以上の組み合わせの中から最適と思われる処方を行っています。
眠気の出にくい抗アレルギー剤を処方することも可能です。
また、漢方薬の中には花粉症に効果のあるものがあります。
漢方薬には鼻水に即効性があるものがあり、
しかも眠気がほとんど起きないことも利点です。
漢方薬は効き目に個人差があるため、服用の指示をしっかりと守ってください。
その上で定期的に通院いただき、効果を確認し治療を進める必要があります。
吸い込んだ花粉が鼻の粘膜に付着しアレルギー反応が起こると、鼻の粘膜は腫れて鼻がつまったり、くしゃみ、鼻水を引き起こします。
アレルギー反応で
鼻が腫れ空気の通り道が
なくなっています
受験シーズンは花粉の飛散時期が重なってしまう厄介な時期です。
せっかく努力して積み上げた知識が花粉症の影響で受験当日に発揮できないと
なると悔やんでも悔やみきれません。
将来の受験シーズンに備えて今から準備をしっかりしておくことは非常に重要です。
まだまだこれから何十年も日本国内ではスギ花粉は飛び続けます。
舌下免疫療法は治療期間は長いですが、その分しっかりと治療をした期間だけ効果も長く続きます。
これから数十年、花粉症で苦しむことを考えれば
受験を将来控える学生さんに限らず、大学生や社会人の方にも
ぜひトライしていただきたい治療法です。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法は、 2014年10月から新しく認可された治療法です。
治療を受ける方々が増えるに従って、副作用も少なく、治療成績も良いことがわかってきました。
スギ花粉の成分を含んだ「シダキュア」を舌の裏(舌下)から服用し、
体をアレルギーの原因物質に慣れさせる根治療法です。
初回治療は当院にて実施します。
その後は、当院の指導の下に患者様ご自身が毎日「シダキュア」を舌の下に1分間保持した後に飲み込んでください。
当初は低濃度から服用し、2段階で濃度をあげます。
この治療を3~5年継続することで効果を発揮します。
既に舌下免疫療法を開始された方のうち、
8割以上の方がスギ花粉の飛散時期に効果を実感されています。
舌下免疫療法による効果
●くしゃみ、鼻水、鼻づまりの改善
●涙目、目のかゆみの改善
●抗アレルギー薬の減量
●QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)の改善
⇒個人差はあるものの、8割以上の方に効果が確認されています。(※3~5年継続的に治療を続けた場合)
舌下免疫療法の治療の流れ
スギ花粉の飛散が始まる直前から飛散時期に治療を開始しても効果が薄く、また安全性も考慮し、治療の開始は5月~12月の間にスタートします。
1週目は増量期とし、2週目以降は維持期として、治療を続けます。
投与法としては、舌下に薬剤を置き、1分間保持した後、のみ込みます。
その後5分間は、うがい・飲食を控えてください。
治療費の目安
(3割負担の方でクリニックと薬局の合計額)
初回の受診時は2,000円程度が目安です。
その後、「シダキュア」投与の1週間後に1度通院ください。
その際の治療費は1回あたり2,000円程度が目安です。
1週間以降は1ヶ月に1度は通院してください。
その際の治療費は2,600円程度が目安となります。
※すべてお薬代を含みます。
※アレルギー検査が必要な方は別途料金が必要です。
※花粉飛散時期は、症状によりアレルギー薬が別途必要になることがあります。
花粉を吸い込まなければ花粉症を発症することはほぼありません。花粉を極力吸いこまないために、以下の点に注意してください。
①花粉情報に注意する。
②飛散の多い時の外出を控える。
③飛散の多いときは窓、戸を閉めておく。
④飛散の多いときは外出時にマスク、メガネを使う。
⑤表面がケバケバした毛織物などのコートの使用は避ける。
⑥帰宅時、衣服や紙をよく払い入室する。洗顔、うがいをし、鼻をかむ。
⑦掃除を励行する。
意外と多いのが「自宅への花粉の侵入」です。最近では住宅の換気性能が向上し、24時間換気など終日換気の住宅が増えています。
しかし、24時間換気は終日花粉を招き入れることになりますので、給気口のフィルターを花粉がブロックできる性能のものに代えていただくなど対策が必要です。